2002年度総合診断実習 細菌検査実習 要項

A. グラム染色(標本作製と観察)
・ 課題:それぞれGPC/GNC/GPR/GNRのどれが見えるか
・ 検体:[A-1]痰(No.  )/[A-2]尿(No.  )
 (検査申込状況により検体数は異なる)
・ 改良法のキットなので操作法は標準法と少し異なる
1. 検体をよく洗浄したスライドグラス上に塗布し、乾燥後火炎固定
2. 染色液Aをスライドグラス全面が被われるよう滴下、1分間静置し染色
3. 水道水で穏やかに水洗
4. 水をよく切った後脱色液を染色液Aの青い色素が溶け出さなくなるまで滴下
5. 水道水で十分に水洗
6. 染色液B-Fをスライドグラス全面が被われるように滴下、1分間静置し染色
7. 水道水で穏やかに水洗、ろ紙に載せて乾燥後、鏡検
・ 塗抹染色のコツ
・ 塗布濃度を変えて数枚作る
・ 尿は先が輪になったスティックメートを使い沈澱を取る
・ 痰は膿の部分から取り水で薄めて広げる
・ 火炎固定・水洗時はピンセットを使う
・ 脱色液は引火性があるので注意
・ 観察の注意点
・ 細菌は油浸レンズでないと見えない
・ 桿菌であってもすべて典型的な棒状とは限らない
・ グラム陽性菌であっても全ての菌体が青く染まるとは限らない
・ 染まり方がまだらなのか、陽性菌と陰性菌が混在しているのかなどは、全体を満遍なく観察しないとうまく判別できない
B. 抗酸菌染色(観察)
・ 課題:抗酸菌は1視野に何個または何視野に1個見えるか
・ 検体:[B-1]痰(No.  )/[B-2]痰(No.  )
・ 観察の注意点
・ 標本の塗布面全体を観察するつもりで探さないと見落とす恐れがある
・ 均等に分布しているわけではないので、複数視野を観察して平均をとる必要がある
C. 分離培地(観察)
・ 課題:それぞれの培地で何種類のコロニーが区別できるか
・ 検体:[C-1](No.  )BTB・血液・チョコレート
    [C-2](No.  )BTB・血液・チョコレート
    [C-3](No.  )BTB・血液・チョコレート
 (検査申込状況により検体数や培地の組合せは異なる)
・ 区別のポイント
・ コロニーの大きさ
・ 培地との適合性−グラム陽性球菌は栄養の乏しいBTB寒天培地には生えにくく、ヘモフィルスはチョコレート寒天培地以外には生えにくい
・ 密集度−孤立しているコロニーの方が栄養を独占し大きくなる
・ コロニーの性状(ラフ/スムース・扁平/水滴状・透明度・光沢・色素産生)
・ 培地の変化(ブドウ糖発酵−BTB黄変、溶血毒素産生−溶血環)
・ 各培地に共通するコロニー、それぞれの培地にしかないコロニーが存在し得る
D. 自己検体(観察)
・ 課題1:それぞれの培地で何種類のコロニーが区別できるか
・ 検体:[D-1]BTB/[D-2]血液
・ 課題2:MRSAはどのように判定するか
・ 検体:[D-3]MRSAスクリーニング培地
・ 増殖しかつコロニー周囲の培地が僅かでも白濁したものをMRSAとして疑う
E. 感染予防(全体を通して注意)
・ 白衣・手袋着用、長髪の処理
・ すべての廃棄物は医療廃棄物専用ゴミ箱へ捨てる
・ 手洗いの励行
・ 当院では学生を含め感染事故への対処手順が定められているので、実習時間内は事故発生後直ちに指導教官に通報すること
F.アンケート(これをもとに木曜日の最後にディスカッションを行う)
次の中からひとつ選択
とても分かりやすかった…(1)
まあ分かりやすかった……(2)
どちらとも言えない………(3)
分かりにくかった…………(4)
とても分かりにくかった…(5)
次の中からひとつ選択
とてもためになった………(ア)
まあためになった…………(イ)
どちらとも言えない………(ウ)
あまりためにならなかった(エ)
全くためにならなかった…(オ)
良かった点、悪かった点をそれぞれ具体的にひとつ以上列挙